漫録

哲学教師の日々の雑感です。

奥泉光『モーダルな事象』は面白い。文学部教員にはたまらないところがある。特に次の箇所は、自分が書いたのではないか、と錯覚するほどだった。

「こんなところに暮らしていたら、きっと自分は晴耕雨読の暮らしをするだろう。そして読んだ書物の言葉はどれも岩間からこんこんと湧き出る清水のように魂に流れ入ってくることだろう。自分の勉強が一向に進まず、精神が絶えず弛緩しているのは、おもに大阪のせいである。大阪が悪いのである。大阪が人をしてアホに変えるのである。」