漫録

哲学教師の日々の雑感です。

ことば

桑潟幸一准教授シリーズ第二巻、文庫化を待つつもりだったが、我慢できずに購入。前作の、描写し尽くそうとする意志にやられた。ある金髪男子学生を表現した次の文など、あまりにリアルで怖いほどである。
「誰かに似ている。と考えていた桑幸はそのとき、いつかテレビで見た手に乗るサイズの猿に似ていると、類似物を探り当てた。東アフリカから非合法に密輸された猿は、輸送のストレスで毛が抜けていた。猿は、陰険にカメラを気にしながら、前歯で木の実を狂ったように齧(かじ)っていた」(『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』より)