小松左京『復活の日』を読む。流出したウィルス兵器のために人類が滅ぶ話。最近の状況とよく似ている。コロナに対してネットで大騒ぎする人をいぶかしく感じていたがこれを読んでおられたのかもしれない。まあしかし、こうならなくてよかった。
わたしが興味を引かれたのは、科学の発展に見合った宇宙観・人間観を構築してこなかった哲学者の責任に触れたところで、「イマニュエル・カントの宇宙=人間観こそが、二十世紀後半において、ふたたび、とりあげられねばならないものではなかったかと思います。…われわれの時代の巨峰ハイデッガーもまたその存在論における巨大な労作と実存主義の提示によってもっとも高く評価されてしかるべき」というくだり。これは、小松左京自身の見解なんだろうか。