漫録

哲学教師の日々の雑感です。

イギリスとアメリカ

ともにアフリカの飢餓を救うために作られた、イギリスの「Do they know it's christmas?」とアメリカの「We are the world」を比較する。

「有り余る私たちの世界では、私たちは喜びの笑みを振りまく事だって出来る。でもあなたが楽しい時を過ごすとき、あなたの窓の外には恐れと不安に満ちた全く別の世界がある」と歌う前者には、北が南を搾取する世界の構造に対する告発がある。「それが自分でなく彼らだったことを神に感謝しよう」という皮肉な歌詞には、この構造への怒りが表現されているように感じられる。

他方、「私たちはみな、神の大きな家族の一員。神が石をパンに変えることで示してくれたように、私たちも救いの手を差し伸べねばならない」と歌う後者には、信心深い慈善家の善意を感じる。前者のような社会批判はなく、その意味で「安全」。