漫録

哲学教師の日々の雑感です。

創造的誤解について

調和的宇宙に融合し、それと一体となるという日本的な死のイメージは、死において初めて宇宙に帰するのではなく、現実の生においてすでに宇宙の一部であるという意識を背景に持つ。(相良亨『日本人の死生観』より要約)

こういう文化的背景を持って、例えばシェーラーの『宇宙における人間の位置』を読めば、解釈にあるバイアスがかかることは否定しがたい。解釈としては、そうした主観的バイアスはできるだけ排すべきである。

しかし、客観的解釈に徹しようとしてなお残る主観的歪みはやむを得ないものであり、また、一つの創造でもある。