漫録

哲学教師の日々の雑感です。

翻訳

『大論理学』の翻訳について。「Insofern also jedes der als selbstaendig sich verhaltenden Einheit mit sich an sich bestimmt ist」(全集209ページ)の前半を、既存の二種類の邦訳は、「自立的なものとして振る舞う自己との統一のいずれもが」と訳しているが、それなら「jedes」ではなく「jede」でないとおかしい。また、「Einheit」が単数形なのも不自然。ここは、仏訳のように、「Einheit」以下を述語とし、また、an sichの前にコンマを補って、「自立的ものとして振る舞うものたちのいずれもが、自己と統一しており、それ自体において規定されているかぎり」としたほうがいい。

チャイコフスキー

小澤征爾さんの訃報ニュースで流れていた曲に聞き覚えがあるのにタイトルを思い出せない。小澤さんの代表作を検索して、チャイコフスキーの弦楽セレナードであることが判明。CDも持っているが、指揮はバルビローリ。

師恩

今日は同朋大学で藤田正勝先生の講演会。演題は「親鸞の三願転入」で、予習に先生の近著を拝読。宗教的時間についてのご説明から、道元の「有時」を理解するヒントをいただいた気がする。それにしても先生は今年で75歳、明晰な思考力に全くお変わりなく、さすがです。