漫録

哲学教師の日々の雑感です。

老人の主張

バスの中で。「500円入れたのにお釣りが一円玉しかないで」「みんな100円玉ですよ」「いや、こわいわ。年取ると分からへんねん。人ごとやと思って笑うとるけど、辛いで。ほんま情け無い」

いや人ごとではない。それにしても、このご老人はしっかり主張なさるところが偉い。さすがは大阪のおばあさんだ。おばあさん、想像力を欠くわれわれに、老いというものを啓蒙し続けてください。

お相撲さん

私がサ道修行に勤しむスーパー銭湯にお相撲さん登場。どこかの大学の相撲部かもと思ったが、髷を結っていることと、独特の椿油の香りから、本職と断定。調べてみると、大相撲は大阪で秋巡業をしているようだ。それにしてもお相撲さんのボリューム感はすごい。お相撲さんの体をたたいている人がよくテレビで中継されるが、気持ちがわかった。あの肉塊の剛健さを直に確かめたいのだ。

昼食失敗。麺が長崎直送という言葉に釣られてチャンポンにしたが、三十八年前に長崎で食べたチャンポンの麺が好みでなかったことを忘れていた。

哲学

哲学の授業のテーマは、直球勝負で、魂の善さ。講義の後、学生さんがやって来て、哲学の本を紹介してほしいと言う。哲学に興味を持ってくれたとしたら、これに過ぎる喜びはない。

プロ

マイケル・ジャクソンの映画『This is it!』から。

「イヤフォンの音で自分の歌が聞こえない。意図はわかるけど、自分の耳で聞いて歌うように育ってきたから、歌いにくい。怒ってるんじゃない」

「音響でできることは何かな?イヤフォンの音量を下げようか?」

「そうしよう」

「何か聞きたい音はある?ヴォーカルの音を上げようか?」

「いや、いい」

というような具合で次の曲のリハーサルに進んだ。

音響さんの対応に感心した。文句を言われたと怒るでもなく、マイケルの発言を問題点の指摘として受け止め、問題解決に向けた提案をする。プロだ。問題点の指摘を人格攻撃と受け止める社会人のなんと多いことか。私もプロになりたいし、プロと仕事したい。ゴッコ遊びはもうたくさん。