漫録

哲学教師の日々の雑感です。

ペリクレス

今日の哲学の講義資料から。「理を分けた議論を行動の妨げとは考えず、行動に移る前にことを分けて理解していないときこそかえって失敗を招くと、と考えているからだ。…われらは打たんとする手を理詰めに考え抜いて行動に移るとき、もっとも果断に行動できる。しかるにわれら以外の人間は無知の時に勇を鼓するが、理詰めにあうと勇気を失う。だが一命を賭した真の勇者とは他ならず、真の恐れを知り真の喜びをしるがゆえに、その理を立てていかなる危険をもかえりみない者の称とするべきではないだろうか」(トゥキディデス『戦史』ペリクレスの葬送演説より)。岩波書店は『戦史』を読みやすい活字の版で早く再販売するべきだ。